前回の記事では、シルクスクリーンプリントの基本的な概要についてご説明しました。今回は、シルクスクリーンプリントの表現力がいかに多彩で奥深いものであるかを、具体的な技法とともに紹介していきます。
インク材料を使ったプリント技法
ラバープリント
ラバープリントは、その名の通り、ゴムのような質感が特徴の技法です。このプリント方法は、特に鮮やかな色を際立たせたい場合に適しています。インクが布にしっかりと定着し、長期間色褪せずに保持されるため、Tシャツのデザインに最適です。
ラメプリント
ラメプリントには二種類の方法があります。
- キラキラしたグリッタープリント:グリッター(ラメ)を使用して、表面に光沢と輝きを与える技法です。ファッション性が高く、特にステージ衣装やイベントTシャツに向いています。
- ペースト状のシマープリント:ペースト状のインクに微細な粉末を混ぜ込んでプリントする方法です。こちらはグリッタープリントに比べて控えめな光沢を持ち、マットで上品な仕上がりになります。
染み込み系の半ラバープリント
この技法は、元々隠蔽力のない顔料インクにラバーを必要な料混ぜ込むことで、完全ではなくある程度染み込んだプリントが表現でき、自然な風合いが特徴です。ラバーのような厚みは少ないものの、カラーのTシャツにおいては、生地の色とプリントの色が混ぜ合わさって洗いを重ねたような雰囲気での仕上がりが期待できます。。
もこもこの発泡プリント
発泡プリントは、インクに発泡剤を混ぜ込み、加熱することでインクが膨らむ技法です。この方法によって、立体感のあるデザインが可能になります。もこもことした質感は視覚的にも触覚的にもユニークで、特に子供服やカジュアルウェアに人気です。
分解プリント(特色で網点を使用した技法)
分解プリントは、特定の色(特色)を網点で表現する技法です。網点を利用することで、より細かいデザインやグラデーション効果を出すことが可能になります。この技法は、細部にこだわったデザインや複雑なイラストに適しています。
4色分解プリント(網点でCMYKを掛け合わせた技法)
4色分解プリントは、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の4色を掛け合わせて色を表現する技法です。写真のようなフルカラーのデザインをプリントする際に使用され、非常に高い再現性を誇ります。プリントの精度が高いため、リアリティのあるデザインが可能です。
クラックプリント
クラックプリントは、プリント後にインクがひび割れるような質感を持つ技法です。この技法は、ビンテージ風のデザインや、アンティークな雰囲気を出したい場合に最適です。時間が経つにつれてひび割れが進行し、より一層味わい深い表情を見せてくれます。
インク以外の材料を使用したプリント技法
フロッキープリント
フロッキープリントは、毛羽のあるフロッキーシートを使用した技法です。この技法により、プリント部分に柔らかくてベルベットのような手触りを持たせることができます。視覚的にも触覚的にも高級感があり、特別なデザインや装飾に適しています。
箔プリント
箔プリントは、箔(フォイル)と呼ばれる薄い金属シートを使った技法です。箔を使用することで、プリント部分にメタリックな光沢と輝きを与えることができます。ゴージャスで華やかな仕上がりとなり、特に高級感を求めるデザインに最適です。イベントやパーティーなどの特別なシーンで際立つデザインが可能です。
独自の技法を生み出す職人も!
プリント技法はインクや材料をうまく調合することで、その職人・工場独自の技法としてプリント表現を生み出すことも可能になります。
今回ご紹介したのは一般的な技法になりますが、普段お目にかかることのない技法を取り扱う工場や技法や材料の組み合わせで独創性を出す工場など実際に存在しています。
シルクスクリーンプリントの技法は非常に多岐にわたり、それぞれが独自の魅力と表現力を持っています。これらの技法を駆使することで、あなただけのオリジナルなTシャツを作り上げることができます。ぜひ、自分のデザインに合った技法を見つけて、プリントの楽しさと奥深さを体験してみてください